Wantedlyなどのツールを使って、企業が候補者に直接「スカウトメール」を送る採用活動が一般的になりました。
昨年はフリーランスとして活動していたのですが、たくさんの企業からスカウトメールを頂きました。
でも正直な話、内容を読んでみたくなるのは10通に1通くらい……。三者三様のメッセージを受け取るうちに、返信率を上げる書き方がわかってきました。
どんなメッセージが効果的なのか、受け手の立場からまとめてみます。
※今回の記事はあくまで「文面」で気をつけることにフォーカスしていて、候補者の選定方法には触れません
Contents
スカウトメールを100通ほど受け取って
数えていたわけではないのですが、おそらく100通以上はスカウトメールを受け取ったと思います。
それなりに名の知れた企業にいた経験があり、プロフィールが充実していて、現在フリーランスとなれば、わりと引く手あまたです。
会社によって全然メッセージの内容は違うのですが、返信したくなるメッセージには共通点がありました。
それは、「ちゃんと自分を見て送ってくれている」ということです。
スカウトメールなんて気軽に何通も送れる時代です。実際私もたくさん受け取っていたので、すべてに返信することはできません。
メッセージの文面ひとつで、ランダムに送りまくっているのか本当に興味をもってもらえているのかはわかってしまいます。
企業が「選べる」時代は終わっている
大前提として、企業側が「選ぶ」という意識でいると厳しい時代になっているのかなと思います。
スキルの高い人材は、たくさんの会社から声がかかっています。そのなかから、自分が納得できる条件を交渉し、最適な環境を「自分で選ぶ」ことができるのです。
かつては就職難といわれた時代もありましたが、現在は完全に求職者側が売り手市場。フリーランスとして自分の力だけでやっていける人も増えています。
企業は「選ばれる」側だという意識をもって、謙虚な姿勢でいきましょう。
スルー必至のスカウトメールの特徴
スルーされてしまうスカウトメールの特徴は明白です。
- 長い
- 誰に送っても同じ文面
- 日本語がおかしい、専門用語が多い
基本中の基本として、長ったらしいメールは見た瞬間スルーされます。
長いの基準は、スマホ画面2つ分以上。ほとんどの人は仕事の合間にスマホでスカウトを見ているので、2スクロールしても下までたどり着かなければ、そっと閉じられること間違いなしです。
また、宛名がなく「あなた」となっていたり、「プロフィールの経歴を拝見して〜」としか書かれていなかったり、誰に送っても通用するテンプレ文もNGです。脳内で勝手に迷惑メールに分類されます。
細かな言葉づかいも重要で、日本語のおかしい人はコミュニケーション力にも問題がある場合が多いですよね。専門用語の多用も「話が噛み合わなそうだな……」と思われてスルーされてしまいます。
スカウトメールには「自分ゴト感」が最も大切。これを短い文面でどう伝えるか、実際のテンプレートを見ていきます。
返事がもらえる文面とは?流れに沿ってメールテンプレ解説
会社によって異なるので穴が多いのですが、テンプレートを公開します。
Aさん
こんにちは。株式会社XXXXのXXと申します。
Aさんのプロフィールを拝見し、マーケティング代理店でのご経験やXXXXXにご興味がある点で、当社のマーケティングマネージャーとしてご活躍いただけるのではと思い、ご連絡させていただきました。
※引っかかった部分を具体的に伝え、ポジションを冒頭で提示する当社は、XXXXを手がけている会社です。(会社がやっていることの説明:3文まで)
※スキル以前に、ビジョンや事業内容でマッチング昨年からは欧州にも拠点を設け、グローバルに事業を展開しています。(最近の目立った動きや、これからどんな展開をしていくのか:3文まで)
※ビジネスが順調なことをファクトで示し、事業フェーズも明確に
事業拡大に向けてマーケターを募集しており、〜〜〜な人を探しています。具体的には、〜〜や〜〜などを担当していただきます。(ポジションについての説明。具体的に何をするのか、仕事の面白さ・やりがいは何か:3文まで)
※入ってからやることが想像できるように当社ではリモートワークやフレックス制を取り入れており、(どんな人がいるのか、どんな働き方ができるのか:3文まで)
※最近は「働き方」もとても大事。差別化できる点ですすぐにAさんの経験を活かしてご活躍いただける環境です。まずはカジュアルに面談をさせていただけないでしょうか?
※ネクストアクションを明確にしてあげると返信につながりやすいお忙しいとは思いますが、お返事をお待ちしております。
伝えるべきは大きく5点あります。
- スカウト対象者のどこに興味をもったのか
- 何をしている企業なのか
- どういうポジションで活躍してもらえそうなのか
- どんな人がいて、どんな働き方ができる企業なのか
- 次のアクションとして何を希望しているか
このどれが欠けてもダメで、すべてを満たしつつスマホ2画面分に抑えましょう。
ある程度のテンプレートをつくっておいて、その人のプロフィールを見ながら気になった点などを入れ込んでいくやりかたがおすすめ。
少し手間はかかりますが、ありきたりなテンプレ文を乱射するよりも効果があるはずです。
返信率を下げてしまう、ありがちな文言集
次に、多くの企業が使っているけど今すぐやめたほうがいいなーと思う表現をあげていきます。個人的な意見も入りますが、「あ〜あるある」と思いながらご覧ください。
「転職の意思がなくても構いません」
実際にはそのとおりなのですが、わざわざ伝えなくてもOKです。
世の中には「今すぐ転職したい人」「絶対に転職したくない人」の2種類しかいないと思ったら大間違いで、
「転職したいわけじゃないけど、良い企業に出会えたらどうなるかわからない」
という人が8割くらいだからです。
せめてこの中間層にいる人を釣り上げないと意味ないですよね。わざわざ「転職する気なくてもいいよ」と言うと、最近転職したばかりの人や競合のスパイまで釣り上げてしまうかもしれません。
「オフィスに遊びに来ませんか?」
優秀で忙しい人材は少しイラッとするかもしれません。
仕事の合間に時間を作って来てもらうので、企業側がこのスタンスだとちょっと不安です。なんの目的もない時間を過ごすことに抵抗のない人が本当に「遊びに」来てしまいます。
ちなみに、最近はSNSなどで「オフィスに遊びに」がちょくちょくネタにされているので、まだこの言い方してる人いるんだ……という見方をされてしまう可能性もあります。
自ら候補者のレベルを下げないように気をつけましょう。
「ぜひお話伺いたく〜」「ぜひ一度お会いしてみたく〜」
これがなぜダメかというと、何かを提供してもらおうというTAKEの精神が滲み出ているためです。
自分がお話を伺う・会ってみる、のではなく、何か話したいことや会って伝えることがあるはずですよね。というか、スカウトからの面談は、企業が自分をアピールするチャンスでもあります。
候補者の立場で考えたら、突然連絡してきた人に一方的に情報を聞き出されておわり、というのは避けたいです。
GIVEの精神で、来てもらうことで相手が得られるメリットを伝えましょう。
「人が足りておらず」「〜に課題があり」「急務で募集しており……」
一刻も早く採用したい気持ちはわかります。
でも、これはダメですね。事業がうまくいっていないことを見せられても、誰も入りたいと思いません。それに、会社側の都合でしかない。
以前「社内でリソースが不足しており、お力添えいただきたく……」のような正社員オファーをもらったことがありますが、「私はリソースかい!」と突っ込みたくなりました。
人が足りないなんて、スカウト対象者は知ったこっちゃないです。採用はマッチングなので、双方にメリットがある形にするべきで、助けてもらいたいという姿勢はダメです。TAKEよりもGIVEの発想で、お互いにとってよい落としどころを見つけましょう。
まとめ:相手の気持ちを考えてメールを送る。それは人間関係と同じ。
採用活動は人と人とのマッチングです。
「いい人材を採りたい!」と意気込むのはいいですが、画面の向こうにいるのは人間です。受け取った人の気持ちを考えて、ラブレターを送る気持ちで書いてみましょう。
私はたくさんのメールをもらったなかで、「これは……!」と思う企業にはよく会いに行っていました。それがきっかけで業務委託として仕事をすることになったこともあるし、他の人を紹介したこともあります。数ヶ月経ってからよいご縁に繋がったケースもありました。
正社員としての採用につながらなくても、そうやっていつかどこかで人のご縁はつながっていくものです。
目先の採用目標ばかり考えずに、長〜い目線で良質なコミュニケーションを考えていけるといいですね。
おわり。