自分で小さな飲食店やカフェをやっている人なら、いつかはテレビに出るくらいの有名店に…!と憧れますよね。
時代はインターネットとはいえ、やっぱりテレビの力はすごい。一度紹介されただけで人気店になって大繁盛!という可能性もある。夢がありますね。
でも、これまでに何百件と飲食店の取材対応をしてきた経験から、テレビ取材は選んで受けるべきだなって強烈に思っています。。その理由を書いておきます。
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小さな飲食店にとって、テレビ取材は嬉しいもの
○月✕日放送の「ヒ●ナンデス!」で紹介されました!
というPOP。いろんなお店で見かけると思います。
テレビで取り上げられた場合、放送は一瞬ですが、その後もずっと「テレビで紹介された店」として宣伝効果が見込めます。
特に個人でやっている小さなお店は、広告宣伝費も多くはかけられません。食べログのようなサイトに出すのが精一杯…というお店にとっては、無料でマスメディアで紹介してもらえるなんて夢のようなことと思うかもしれません。
「テレビ局からお店に電話がかかってきたー!」というだけで舞い上がる気持ちもわかります。
こんなリスクもある飲食店のテレビ取材
テレビ取材は上手くやれば恩恵が受けられますが、小さな飲食店にとってはリスクのほうが多いと言えます。下手すると廃業に追い込まれる可能性もゼロではないので、慎重に判断すべき。
考えられるリスクは以下のとおりです。
ミーハー客だらけになる
番組を間違えないかぎり、テレビできちんとお店が紹介されたら、ほぼ間違いなくお客さんの数は増えるでしょう。
問題は、そのなかからリピーターになってくれる人が何人いる?ということ。
ほとんどは、気まぐれで来たミーハー客。
今回食べたらもう二度と来ない客ばかりが、一時的にわっと増えるだけです。
タレントが食べたメニューばかりが出るように
タレントが入るロケの場合、番組の放送後に売れるのは当然「タレントが食べたもの」です。番組の企画が「カレー特集」だったからといって、特に看板メニューというわけでもないカレーを出したが最後、もう気づいたら毎日カレーばっかり作っている、、という状況に陥ります。
急に今までの注文比率が狂ってしまい、食材の発注バランスが崩れ、仕入先にも迷惑がかかって、コスト計算もよくわからないことに。経営がぐらぐらします。
混雑に対応できず、疲れきる
飲食店バイトの経験があればわかると思いますが、混雑時のお店って本当に大変ですよね。。料理運んでるのにお客さんに呼ばれるし、厨房とか暑すぎるし、下げ場にはどんどん食器が溜まっていくし、地獄です。
「ミーハー客が山のように訪れて、タレントが食べたものばかり頼んでいく」
この状況はちょっと極端ですが、テレビで紹介された結果どのくらいの客が来るかは本当に予想できません。平常時の1.5〜2倍くらいだとほどよく回せるのですが、いきなりアトラクション並の行列ができてしまうことも。
今までテレビ取材を受けたことのないようなお店だと、人手が足りずフル回転状態に。新規のお客さんを待たせてしまうと、悪評にもつながりかねません。
連日の忙しさに耐えきれず、スタッフが辞めてしまった、、
なんてことになったら、大損失もいいところです。
結果、常連さんを失うことに……
まず、取材当日。
特にタレントロケの場合はスケジュールが限られ、お店側から取材時間を指定することはできません。この日この時間に決まったから!と言われた時間がランチピーク帯の可能性もあります。
放送ではお店の一角しか映りませんが、撮影隊というのはカメラの後ろにだいたい5〜10名ほどいて(タレントが複数人ならもっと)、タレントによっては騒ぎも起こるので、とても取材中は通常営業できる状態ではありません。
事前にお客さんに撮影日を告知することも難しく、撮影だと知らずにふらっと来てくれた常連さんを追い返すことになってしまいます。
さらにオンエア後は、新規の一見さんが増えて以前とは全然違う様子になってしまい、常連さんが離れることに。。やっと客足が落ち着いてきた頃には、「あれ、そういえばいつも来てくれたあの人、来なくなっちゃったな……」という切ない状態かもしれません。
オンエアを見てびっくり!ということも
テレビって思った以上になんとでもなるメディアで、撮影後にカットや挿入でいくらでも編集ができます。O.A.を見てみたら、撮影してた内容と全然違うんだけど、、、ということも起こります。
- キッチンのなかまでカメラが入って、切ったり焼いたり混ぜたり調理工程もがっつり撮ったはずなのに、O.A.見てみたら「秘伝のタレ漬け込んでるとこだけ」とか
- 店長やシェフが慣れないカメラの前で一生懸命しゃべって、何度も撮り直したのに、放送を見たら全カット!とか
ショックですね。
こうなる理由は、「テレビ側が求めているコメントと画は、最初から決まっているから」です。
テレビ制作の人たちは、まず自分の頭のなかにその番組の流れをだいたいイメージして、それに当てはまる映像を撮るために店舗に来ています。いくら決まっているとはいえ撮っていないシーンは当然使えないし、あとからは「やっぱこういう映像欲しかったわ」となっても再撮はだるすぎます。だからいっぱい撮るんです。
「とりあえずありとあらゆる映像を撮って持ち帰り、編集で必要な1カットだけを厳選する。」
これは当たり前のことなのですが、視聴者から見たらそれが100対1くらいの割合になるなんて思いませんよね。取材にかかる工数と、実際のO.A.時間は確認しておきましょう。
「取材拒否店」という存在
世の中には、「取材拒否店」といわれる飲食店があります。
取材は一切お断り、というこだわりの強いお店。美味しいものを提供することに命を賭けています。必ずしも「超人気店」「高級店」というわけではなく、こじんまりとやっている定食屋でも取材を受けないお店はあるんです。
そういうお店は、自分たちにとって価値のあることや守りたいものは何なのかをきちんと見極めて判断しています。その取材を受けるメリットはあるのか。プラスに働いてくれる確信がもてるか。天秤にかけてメリットが薄ければ、ときに断る勇気も必要です。
取材を受けるかどうか、判断の仕方
「テレビ取材は小さな飲食店にとってリスクもあるから、慎重に判断したほうがいいよ!」
ということを書いてきましたが、じゃあどうやって判断すればいいの?ってことは別記事で解説します。
「番組企画書」を見て判断しましょう。ポイントを押さえれば、企画書を見ただけでどんな取材・O.A.になるのか具体的に想像できるようになります。
逆に、取材されたい!という方はこちらもどうぞ。
それでも判断できないときは、同業で取材を受けたことがある人やPRがわかる人に聞くのもいいと思います。取材を上手くつかって繁盛しますように!
おわり。