広報PRの業務として一番わかりやすく認識されている「プレスリリースの配信」ですが、
- 実際、どんな効果があるの?
- メディアに掲載されないなら意味ないんじゃないの?
- 効果測定はどうやってすればいいの?
などなど、プレスリリースの「効果」についての疑問って多いですよね。
これまでに数百本配信してきた経験から、「プレスリリースの効果」についてまとめます。
★プレスリリースについては全10記事以上でまとめていますので、しっかり学びたい人は下記の記事からどうぞ。
Contents
プレスリリースとは誰向けのもの?
プレスリリースとは、主にメディア向けに企業が情報を発表する公式文書のことです。
基本的な書き方や、プレスリリースの仕組みについては別の記事で解説しているのでご覧ください。
この記事ではプレスリリース配信の「効果」について書きます。よく「プレスリリースはメディアに掲載・取材をしてもらうきっかけとして配信するもの」と解説している本やWEB記事などがありますが、私はそれだけではないと思っています。
プレスリリースには本当にいろんな効果があり、あらゆるステークホルダーとの関係づくりに欠かせないツールです。
その効果を最大化するためには、配信時間や曜日などに気をつけることも大切。また、WEB配信サービスを上手く活用することも最近では大事です。どんなときにプレスリリースが配信できるの?というパターンも理解しておくといいですね。
それぞれリンク先に別の記事があるので、あわせて見てみてください。
プレスリリースによってもたらされる効果
プレスリリースによる効果は、「メディア掲載」や「取材獲得」だけではありません。
「プレスリリースの目的はメディア掲載獲得」って思いがちだけど、投資のお話が来たり、プレゼン要請が入ったり、コラボのお話が来たり、既存ユーザーにもっと好きになってもらえたり、採用できたり、社内が盛り上がったり、いろいろする。すべてはリレーション。PRは何にでも効く、を実感している🤩
— Ryoko Wanibuchi (@ryokown) 2018年10月5日
私はこれまでに50社500本くらいプレスリリースを配信してきたと思うので、過去に自分が経験したことのあるものを中心にいろいろな効果を紹介します。
投資のお話がくる
これは特にスタートアップにとって大切な話です。
定期的にプレスリリースを発信して、「勢いのある企業」という印象を与えられれば、投資したいという人が現れます。
もちろん事業が魅力的であるとか、社会性や収益性があるとかも重要です。そういう要素が伝わるよう、プレスリリースに盛り込んで配信します。
スタートアップのプレスリリースで特に気をつけるべきことについてはこちらの記事をご覧ください。
製品サービスの売りに直接つながる
プレスリリースといえど、それが製品やサービスに関わる内容だった場合、営業サイドに問合せが入ることもよくあります。
新規性のあるサービスだった場合、「うちの会社に導入したいんですけど」とメールが入ったり、「これどこで買えるんですか!?」と一般客から電話がきたり。
「PRは直接売上につながるものではない」といわれますが、内容によってはセールス効果もあるのです。
イベントでのプレゼン要請がくる
特に、その会社で働く「人物」にフォーカスしたプレスリリースを配信した場合などに、「このイベントに登壇してくれませんか?」という依頼をもらったことがあります。
外部でプレゼンしたりすれば会社の存在を示すことにも繋がりますし、会社としてのメッセージを伝えるいい機会になります。内容がマッチしていれば、受ける価値はありますよね。
たとえば「働き方改革」のような社会的注目度の高いトピックとの親和性があるネタを発信すると効果的です。そういったイベントはたくさん開かれているので、お声かけがあるかもしれません。
他社からコラボの提案がくる
他社とのコラボレーションというのは、コストをあまりかけずに双方にメリットのあるPR効果が見込めるおいしい方法です。
どこの企業もコラボ先を探しています。広報やマーケティング担当が探すことが多いのですが、ほとんどプレスリリースを配信していない企業だと、最近の動向や方向性がわからなくて声をかけづらいですよね。
コンスタントに生きのいいプレスリリースを配信していると、こういった繋がりもできやすくなります。
取引先や顧客からのよいイメージ
プレスリリースは既存の取引先や顧客にたいするメッセージにもなります。
普段から打合せなどをしている相手でも、意外と自社がいま何に力を入れていて、対外的にどんなふうに見られたいのかはよく知らないものです。
配信されたプレスリリースを見て、その次に会ったときに「あれ見ましたよ」なんて話題になったり、コミュニケーションにポジティブに作用することが多いです。
既存ユーザーのブランドロイヤリティが向上
新製品発売やサービスのリニューアルや改善など、ユーザーに直接影響するプレスリリースは、会社のコアなファンであれば見てくれている可能性が高いです。
基本的にはメディアに向けて配信するプレスリリースですが、その先には間違いなく消費者がいます。
消費者から「ちゃんとユーザーのことを考えている企業だな」と思ってもらえるプレスリリースを出すことで、ブランドロイヤリティの向上に役立ちます。
社員の採用につながる
とくに広報・マーケティング系の候補者は、気になる会社のプレスリリースをウォッチしています。
ほとんど配信がないよりは、定期的にネタを出している企業のほうが、転職先として良いイメージをもたれます。
過去に、実際に「プレスリリースを見て気になりました」と面接に来てくれた人を見たこともあります。ここまでくると、超万能。
社内が盛り上がる
プレスリリースは対外的な発信方法だと思っているかもしれませんが、必ず同タイミングで社内にも回覧しましょう。
意外と社員たちは、自社がどういう発信をしているのか見ていません。灯台もと暗しと言いますが、自社のことってよく知っているようで知らないんですよね。
プレスリリースを配信した結果の問合せやSNSでの反響などをシェアしてあげると、単純に会社全体が盛り上がります。
「なんかPRってすごいじゃん」という空気ができれば、広報に情報も集まりやすくなり一石二鳥ですね。
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こんな感じで、いろんなステークホルダーとのリレーションを図っていくことができるプレスリリース。わりと捨てたもんじゃないですよ。
PRは万能薬?なぜこんなに効果があるのか
プレスリリースやそれを含むPR活動全般って、「万能薬」と表現されることがありますが、なぜこんなに効果があるのでしょうか?
それは、「企業が発信する一次情報だから」です。
プレスリリースは、メディアはもちろん、いろんな人が見ています。社会をつくるのは企業。課題を解決するのも、世の中を動かすのも企業。その企業が発表する一番の情報は、感度の高い人ならきちんとキャッチアップしておきたいですよね。
逆にいうと、PR広報担当自身も、他社のプレスリリースをよく見たほうがいいとも言えます。世の中で盛り上がっていることや、競合の情報をチェックするのは、PRパーソンとして大事なことです。
PR TIMESなどを日頃から見ておきましょう。
プレスリリースの効果測定はしなくていい
あわせて気になるのが、
「効果があるのはわかったけど、効果測定ってどうすればいいの?」
ということです。
その答えとして、プレスリリース1本1本の効果測定はそんなに細かくしなくていいというのが私の考えです。
一応シェア数とかPV数とかを見てもいいですが、WEB記事と違って、単発で数字だけで見るのは危険です。それよりも長期的な定性目標を設定して、それに近づいているかを日々チェックしておくようにしましょう。
必ずしもPVが伸びるものが良いプレスリリースとは限りません。取材やメディアからの問合せが入らなくても、確実に企業のイメージ向上に影響しているプレスリリースもあります。
1本1本をバラで見るのではなく、総合的に見ていきましょう。
まとめ:プレスリリースは時代遅れって声もあるけど
「もう最近のメディアはプレスリリースなんて見てない」
「プレスリリースの小手先テクニックなんて無駄」
「オウンドメディアで発信するほうが今の時代には合ってる」
などなどの意見もありますが、それはあくまで、ちゃんとしたプレスリリースを書けない広報が多いから。
企業やニュースの数はどんどん増えていくけど、量に質が伴っていないから、プレスリリースが「迷惑なもの」と思われてしまっています。残念です。
今でもメディアは、ちゃんとしたプレスリリースは見ています。実際に記者の人からも聞いているので、間違いないです。
最近はただ配信サービスやメールで一斉送信するだけでなく、知り合いの人にメッセージで直接送ったり、個人のTwitterアカウントとかで流すのも大事ですね。
チャネルをフル活用して、効果的なプレスリリースを目指しましょう。
▼広報PRのことは本を読んで勉強!
▼ニュースレターも活用しましょう
▼プレスリリースの「お詫びと訂正」の流し方
おわり。