メディアのもとには日々何百通ものプレスリリースが届いていて、目を通してもらえるものだけでも一握り。
タイトルやリード文をパッと見て、惹かれないものは即ゴミ箱行きです。なぜなら、ほとんどは基本の書き方ができていないプレスリリースだから。
「プレスリリースはラブレター」と言われているのを知っていますか?相手のことを考えて伝わる文章が書ければ、きっとメッセージは届きます。
PRにかかわって5年ほど、多くのプレスリリースを見てきた経験をもとに、書き方の決定版をまとめます。
★プレスリリースについては全10記事以上でまとめていますので、しっかり学びたい人は下記の記事からどうぞ。
Contents
プレスリリースとは何か?
プレスリリースとは、メディアの人が記事を書くための素材となる文書。
上の図は配信サービスを使ったときの情報流通経路ですが、このようにメディアに届いて報道され、一般生活者に情報が届きます。
プレスリリースは、取材や掲載につながる大事な資料です。一番大事なのは、自分たちが伝えたいことではなく相手が欲しい情報を書くこと。「記事にしたい!」と思ってもらえる内容を心がけましょう。
基本の書き方を身に付ければ、自社にあわせて応用できます。
プレスリリースはメールやFAXを使って配信するのが一般的ですが、プレスリリース配信サービスを活用することでより効果的にメディアに届けることができます。配信サービスの仕組みや選び方についてはこちらの記事をどうぞ。
※ちなみに、「プレスリリース」と「ニュースリリース」という2つの呼び名がありますが、どちらも意味は同じです
プレスリリースを配信できるのはどんなとき?
その前に、プレスリリースってどんなときに配信できるの?という疑問があると思います。ざっと羅列するとこんな感じ。
- 総務・人事情報
- 決算関連
- 資金調達や資本提携
- 売上や業績の報告
- 社名やロゴの変更
- サービスやシステムの導入
- CSR発表
- 社内制度や福利厚生
- 新商品・新サービス開始
- イベント告知
- キャンペーン告知
- 商品・サービスのリニューアル
- 他社とのコラボレーション
- イメージキャラクター就任
- CM放映・広告展開スタート
- イベント事後レポート
- 調査レポート
- 社員や製品の受賞などの功績発表
- 不祥事に関する対応
- 誤情報の訂正
- 報道や社会動向に対する見解発表
たくさんありますね!
プレスリリースの種類についてはこちらの記事で詳しくまとめました。あわせてどうぞ。
この記事では、最初に基本の構造と型(テンプレート)を提示します。そのあとの「内容・中身」に関しては、⑨〜⑱のマーケティング目的のプレスリリースを想定して説明していきますね。
プレスリリースの基本構造
プレスリリースはA4縦向きが基本の型です。
- A4縦向き1〜3枚程度におさめる
- WordかPowerPointで作成し、最終版はPDFに
- フォントは明朝体かゴシック体
- 文体はです・ます調
シンプルに1枚でまとまれば理想的です。結論ファースト、逆三角形▼の構造を心がけましょう。
見たほうが早いと思うので、テンプレートをどうぞ。(自作だよ)
- ヘッダー
- タイトル
- リード文
- 画像
- 本文
- お問い合わせ先
こんな構造ですね。上から順番に、詳しく見ていきます。
ヘッダー:プレスリリースであることをわかりやすく
ヘッダー部分は、報道関係者に宛てたプレスリリースであることがわかるようにし、会社名(ロゴでもOK)・配信日時を入れておきます。
どのリリースもこの部分は変わらないので、テンプレート化しておきましょう。
タイトル:パッと目を引く見出しを
タイトルにすべてを詰めてください。プレスリリースはタイトルが命。
文字数は、じっくり読むというよりパッと見で意味がつかめる程度の60字まで理想。【メインタイトル】と【サブタイトル(日時や場所などの補足要素)】とわけるのもおすすめです。
タイトルは本当に大事で、私が新人のときは、ひたすらプレスリリースのタイトル案を出しまくるトレーニングをしたくらい笑 ひとつの内容で10案くらい出したりしました。そのくらい重要です。
簡潔に、でもインパクトのある言葉を使って。メディア目線でワードを選びをしましょう。
WEB記事のタイトル付けにも似ていますが、あくまで事実ベースが基本です。くれぐれも「釣りタイトル」をつけないように。
「!」や「!?」の使いすぎも嫌う記者さんが多いので、気をつけましょう。宣伝文句や広告コピーのような文言も避けるべきです。
リード文:1〜3文程度でシンプルに
プレスリリースの本筋を1〜3文程度で簡潔に。
5W1Hを意識して、リード文だけ読めば内容がわかるようにきれいにまとめましょう。
株式会社XX(代表:XX XX、本社所在地:東京都XX区)は、〜〜〜〜〜〜〜〜〜ができる新サービス「●●●●●(サービス名称)」を、△月✕日にリリースいたします。
こんな感じのやつですね。ざっくりですが。
この決まった形式は意味あるの??と言う人もいますが、大手新聞やテレビの経済部などは、実在する信頼できる会社かどうかこれで判断していたりします。特に破る意味もないので、テンプレートどおりでOKです。
たまにコラボのリリースなどで、会社名が3社くらい出てきてわけわからなくなっているのがあります。1文は長くて80字程度に収めましょう。
※長くなるときは、会社の詳細をリード文内ではなく注釈にしてつけるなど、工夫しましょう。
画像:高解像度・高インパクトなイメージ
画像も超大事。タイトル→リード文→画像、ここまででその先を読むかどうかが大きくわかれます。
特にWEBでは、内容的にいいなと思っても、画像次第で掲載候補から外れることも全然あります。
リリースの内容を端的に表していて、見た目のよい画像であればOK。飲食や女性向け商材などは、記事のアイキャッチにして見劣りしないフォトジェニックな写真を用意しましょう。
どんな画像がいいかわからなければ、掲載されたいメディアを見て、一緒に並んでも違和感のない画像を用意すれば大丈夫。
忘れがちなのが画像のサイズ。解像度が低かったりすると掲載したくてもできません……。横幅1200pxはあるのが望ましいです。
本文:記者の視点に立って有益な情報を
本文は基本的に文章として書きますが、箇条書きなども使って読みやすさを意識しましょう。必要な要素をもらさず、5W3Hくらいを意識して書くとよいです。
When | いつ?→スタートする日時 |
---|---|
Who | 誰が?→発信元の企業・団体名 |
What | 何を?→メインとなるトピック |
Where | どこで?→会場や実施エリアなど |
Why | なぜ?→実施に至った市場・社会背景 |
How | どのように?→手段や具体的な実施概要 |
How long | どのくらい?→実施される期間、終了日 |
How much | いくらで?→商品価格や参加費用 |
以下のようなポイントに気をつけて書きましょう。
● 何が新しいのかを簡潔に
プレスリリースに一番必要なのは、新規性やニュース性。
何が新しい情報なのかを簡潔に示しましょう。商品やサービスの説明にしても、既存の商品とどういう点で差別化しているのか、どの部分が違うのか、が大事です。
● 社会的背景を盛り込む
その新情報をサポートしてくれる社会的背景を意識して、社会とのつながりを生む文章を書きましょう。
関連データなど数値を入れることで、立体的な情報になります。
● 宣伝コピーにならないように
客観的に、事実ベースで。宣伝文っぽいコピーや誇張表現は入れず、ファクトに基づく文章にしていきます。
「幅広い層に支持されています」のような曖昧な表現もやめましょう。繰り返しのないソリッドな文で簡潔に。
● 専門用語・業界用語を使わない
プレスリリースでは、メディアの人や一般の人が見てもわかるように、専門用語・業界用語は使いません。
毎日その業界にいると、どれが業界用語かわからなくなっていると思います。第三者のチェックを通しましょう。
● 図や表を入れるのもあり
タイトルの部分でも言ったように「じっくり読む」ではなく「パッと見る」で意味が理解できることが大事です。
そのために役立ちそうであれば、図や表を使ってみるのもおすすめです。
お問い合わせ先:いつでもつながる連絡先を
- 会社名・部署名
- 担当者名
- 電話番号・メールアドレス
これらの要素を文末に入れておきます。
メディアが興味をもって連絡してくれたときに、すぐに連絡が取れるように。電話がつながらないとすぐに第二候補にあたってしまう、ということもよくあります。
できれば会社の固定電話で、3名体制くらいで連絡が取れるといいですね。とはいえ「ひとり広報」の会社も多いと思うので、無理だったら個人ケータイでもOKです。
その他、入れておくとよいもの
- 詳細な製品スペック
- 会社概要
- 一般の方からの問合せ先
このあたりは、入れておくとよいです。
3枚を超えて補足したい情報がある場合、プレスリリース内では簡潔にし、プラスの情報は補足資料としてつけましょう。
まだまだ感熱紙でFAX受信しているメディアが多いので、枚数があまりに多いと迷惑になりかねません。あくまで簡潔に!が大事です。
とはいえ、最近は「プレスリリース配信サービス」をいちメディアとして見て情報収集しているフリーライターやブロガー、一般人もいたりします。そういう人たちを意識した情報を入れてもよい傾向がありますね。
プレスリリースを書くときに意識すべき5つの要素
全体をとおして、プレスリリースを書くときに意識すべきポイントをもう少し補足します。大事な5つの要素がこちら。
- 新規性
- 社会性
- 希少性
- 時事性
- 話題性
新規性
「で、何が新しいの?」というが一番大切な要素です。
世界初、日本初、業界初、などの「初系ワード」をなるべく入れられるよう社内で調整してみましょう。何でも入れればいいってものではありませんが、入れられると印象が変わります。
社会性
そのニュースは社会にとってどうインパクトがあるのか、どんな影響をもたらすのか。
何かしら課題を解決するための新商品やサービスだと思うので、調査データなどと絡めて社会への有益性を訴求しましょう。
希少性
めったにない珍しいものであればニュース価値もあがります。
「世界最大(最小)、世界にひとつだけの、限定●個、プレミア付き」のようなワードがその例。これは作り出せる情報なので、企画段階から意識しましょう。
時事性
お正月・クリスマス・ハロウィンなど、季節性のある事柄は取り上げられやすい傾向にあります。
春なら桜、夏なら海のような、シーズンものに絡めたネタもあり。また、1年365日、毎日が「●●の日」になっているので、日頃から意識して企画を立てるときに役立てるといいです。
社会の動きもチェックし、波に乗ることを意識しましょう。
話題性
話題になっている事柄にはどんどんのっかりましょう。
少し前だと「インスタ映え」「ナイトプール」「インドア花見」などがありましたね。テレビやネットニュースで「今話題沸騰中!」のような報道があったら、日頃からメモしておく癖をつけましょう。
プレスリリース出来たら!チェックリスト
記事と同じで、プレスリリースを作成したら一度寝かせて、翌日フレッシュな目で見てみるのがおすすめ。
自分だけで抱え込むのではなく、できれば2〜3人の目は通るようにしたほうがいいですね。広報がひとりしかいなくても、社内で文章が得意な人とかに見てもらうといいですよ〜
最終チェックリストをのせておきます↓
- 見出しとリード文だけを読んで内容が理解できるか
- 中学生でもわかる平易な表現になっているか
- 客観性のなかにも感情は込もっているか
- 「今」取り上げるべき理由が入っているか
- 広告・宣伝臭のする表現は使われていないか
- 専門用語・業界用語が使われていないか
- 信頼性のある数字データは入っているか
- 音読してみてリズムの悪い部分はないか
- 誤字・脱字がないか(重要!)
補足:配色やデザインにはこだわるべき?
デザインがきれいだと目を引く、というのはたしかにあると思います。アパレルやコスメ系だと、美しいプレスリリースを出している会社もあります。
それで成功している企業もありますが、コストが見合うかどうかですね。。広報担当者がデザインが得意!といっても、その時間もコストなので。。
あまり凝りすぎてパッと見でプレスリリース感がないとスルーされてしまう可能性があるし、色に意味を持たせてしまうとモノクロで見たときに伝わりづらいプレスリリースになってしまうデメリットもあります。
個人的には、コーポレートカラー1色くらいでいいような気がします。そのかわり、写真にはこだわりましょう。
他社を参考に!プレスリリースの検索方法
基本を抑えたら、他社のプレスリリースを見漁りましょう。
PRTIMES、@Press、ValuePress!などの配信サイトで簡単に検索できます。配信サービスの仕組みについてはこちらの記事をどうぞ。
業種で絞り込みなどもできるので、自社の競合のプレスリリースは参考にするといいですね。
また、プレスリリースは自社サイト上で公開している企業も多いです。だいたい「NEWS」とか「新着情報」のようなページにいくと、プレスリリースの原文がのっています。
報道から逆検索するのもおすすめ。
自社に近い領域のニュースを調べ、元となったプレスリリースを探しましょう。そのニュースはどんなプレスリリースからできているのか?を考えるトレーニングになると思います。
そうやって深く深く検索しまくると「報道分析」になりますね。報道分析の仕方はまたそのうち書こうと思います。
メールでプレスリリースを送るときの文面
編集部のアドレスや記者個人宛にメールでプレスリリースを送るときの書き方です。
何百通と届いている受信BOXから開いてもらうためには、タイトルの工夫は必須です。これはあまり教えたくないのですが、以下のようなタイトルだと読み飛ばされる率が高いです。
【プレスリリース送付】株式会社●●●●/〜〜〜〜のお知らせ
自分がメルマガなどを受け取ったときの気持ちを思い出すといいです。思わず「おっ?」と開きたくなるタイトル、ありますよね。それを意識してつければOK。
メール本文のコツは、一斉送信感をなくすこと。個人宛に送るように、親しみやすい文面にしてみましょう。
スマホでメールを見る人も多いので、添付ファイルを開かなくても、メール本文で内容や画像が見られるようにしておくのがおすすめ。ただし重くなりすぎないように。
プレスリリース配信サイトを使っているならそのURLを貼り、それから画像素材やプレスリリースのPDFファイルがダウンロードできるようにもしておきましょう。
プレスリリースの書き方は本で勉強しても◎
本はなんだかんだ体系的にまとまっているので、構造を理解するのにはいいと思います。
この記事でだいたいのことはまとめたつもりですが、実際のプレスリリースを見るのが一番。本には事例がまとまっていると思うので、そちらも参考にしてみてください。
ちょっとお高いけど、事例集をひとつ買っておいてみんなで見れるといいかも。
補足:セミナーってどう?
「プレスリリース書き方セミナー」みたいなものもあります。
ガチ初心者なら行ってもいいと思うけど、少なくともこの記事を見つけてくれた人にはあまり意味ないかなーと思います。だいたいWEBや本で網羅されているので。
企業広報やメディア記者から「生の声」が聞けたりするので、無駄とはいいませんが、試しに行ってみるくらいでいいんじゃないでしょうか。
(ちなみに、、記者さんとつながれることをウリにしているセミナーも多いけど、そんなところで列に並んで名刺交換した程度の関係値で記事になるほど広報は単純じゃないよ。)
スタートアップのプレスリリースにはプラスαが必要
オーソドックスなプレスリリースの書き方を説明してきましたが、スタートアップ企業の場合はもうひと工夫が必要です。
- 企業自体に知名度がない
- 大手企業とは期待されていることが違う
などの理由から、少し考える視点が違ってきます。スタートアップのプレスリリースの書き方についてはまた別の記事でまとめます。
▼追記:2018.03.19 まとめました!
まとめ:書き方をマスターしたら配信しましょう
ここではプレスリリースの中身のことを中心に書きました。
書き方がわかったら、配信時間や配信方法について知りましょう。別の記事で解説していますので、ぜひあわせてご覧ください〜。
▼おすすめ配信サービスはこちら
https://www.crocry.com/press-service
▼適切な配信時間はこちら
いっぱい取材が来ますように。
おわり。