2017年秋にマレーシアに1ヶ月ほど滞在していたのですが、
「マレーシア?なに人がいるの?何語なの?」
という感じの反応があまりにも多い。私もそうだったけど。
マレーシアって、東南アジアで一番イメージがふわっとしている国じゃないですか?こんな国!って一言で表しづらい。
それもそのはずで、マレーシアは3種類の人種+αの人々が共存して暮らす多民族国家なのです。人種・言語・宗教も様々。すべてまとめて、多民族国家マレーシアの魅力を解説します。
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マレーシアの人種はざっくり分けて3種類
マレーシアって、マレー系・中華系・インド系がいるのね。今いるカフェ、ヒジャブ巻いてる女性たちがお茶してて、中国人ビジネスマンが名刺交換してて、店員さんはインド人。面白い。👳🏾
— Ryoko Wani (@ryokown) 2017年10月18日
マレーシア初日のカフェでのツイート。こんな光景がどこのお店でも見られるのがマレーシアです。
マレーシアの人種をざっくりわけると、マレー系(60%)/ 中華系(約25%)/ インド系(約7%)という割合になります。移民も多く、残りの4人に1人くらいは外国人なんだそうです。
とはいえ、これはマレーシア全体の割合。ボルネオ島のような離れた島に住んでいる少数民族もマレー系に含まれるので、都市部での肌感覚ではマレー系のほうが中華系よりもちょっと多いかなくらいです。
人種ごとに宗教や言語も違い、多文化が混じり合って共生しています。しかも英語はかなり通じるという、旅人にもフレンドリーな国です。
人口の6割を占める「マレー系」
最も多いのがマレー系の人たち。わかりやすいのは、ヒジャブを巻いている女性ですね。
政治はマレー系中心に動いていて、公務員的な人たちもほぼマレー系で構成されています。国を支えているのは、一番多いマレー系の人たちです。
見た目は日本人にも少し近いかな?「ちょっと顔が濃い日本人」みたいな感じです。
マレー系の言語
マレー系が話す言語は「マレー語」です。インドネシア語にも近いそうです。
Selamat pagi (スラマッ パギ)→おはよう!
Selamat tengahari(スラマットゥンガハリ)→こんにちは!
Apa khabar?(アパ カバー)→お元気ですか?
Terima kasih(トゥリマ カシ)→ありがとう!
こんなやつ。
文字はアルファベットなので、象形文字ばりに難しい東南アジア系言語よりはだいぶ親しみやすいと思います。何日か滞在して標識などを眺めていれば、自然といくつかの単語を覚えます。
マレーシア全体として英語が通じるので、マレー系の人の多くは英語とマレー系の両方を話します。
マレー系の宗教
マレー系の人たちのほとんどはムスリムです。マレーシアは街中にモスクも多く、夕方になるとモスクからお祈りの声が響いてくるのが日常です。
こちらの写真は、少し郊外にあるブルーモスク。ピンクモスクというのもあります。こんなに大きいモスクがあるほど、マレーシアはムスリム国家なんですね。
ムスリムの人たちは、1日5回のお祈りを毎日欠かさずに行います。ですが、現地の人に聞いたところによると、イスラム教の本場であるイランやサウジアラビアほどの拘束感はないんだとか。
校則と似たようなもので、イスラム教徒なのにお祈りをしていないと「なんでお前だけ」みたいに思われるから、周りの圧でやっているとか。もちろん信仰心はあるんでしょうけどね。
ムスリムの人たちは、お酒を飲まないし豚肉も食べません。だからナイトライフを楽しんでいる人の中には、マレー系は少ないです。
おまけ:おしゃれなムスリム「ミップスター」
「ミップスター」という言葉を知っていますか?
ムスリムとヒップスターをかけた造語で、ヒジャブでおしゃれを楽しんでいる若い女性たちのことです。
イスラム文化は「美しさ」に敏感で、特に女性は、体のラインを出さずにいかに美しく魅せるかを常に考えています。ヒジャブと服の色合わせを工夫したり、個性的なヒジャブをつけたりして、制約があるなかでのおしゃれを研究しているんです。
「ミップスター」はマレーシアのクアラルンプールにも多く、特に夕方以降はカラフルな布をまとった女性たちをたくさん見かけます。
ちなみに、ヒジャブを着けなくていい家の中ではもっとおしゃれするらしいので、ナイトウェア市場はアツいですよ。ジェラピケさんとか進出してますか?
ビジネスを回す「中華系」
人口の約25%を占めるのが「中華系」の人々です。
政治や公務を担うのがマレー系なのにたいして、中華系は経済やビジネスを動かしています。そのため裕福な人が多く、コンドミニアムが集中する地域などにたくさん住んでいます。
クアラルンプールにはチャイナタウンがありますが、ここに限らず全体にまんべんなく住んでいる印象です。一番お金を落としてくれる人たちなので、飲食店なども中華系をターゲットにしたところがたくさんあります。
チャイナタウンのグルメはとっても美味しいのでおすすめです。
ステレオタイプ的な中国人よりもおっとりした性格で、賢そうな人が多いです。マレーシアは、大型バスで周る系の中国人観光客も多いのですが、完全に別の人種に見えます。。
中華グルメが有名なイポーという街などに行くと、中華系人種が断然多くなります。
中華系の言語
基本は中国語(北京語、広東語、福建語など)を話しますが、英語もだいたい話せます。
中国語がけっこう通じてしまうので、マレー語は話せない人も多いですね。マレー系やインド系の人と話すときは英語になります。器用です。
中華系の宗教
仏教徒またはキリスト教徒です。
チャイナタウンは全体的に仏教の文化が残っていて、カラフルなお寺もあります。
一方でチャイナタウン内にはクリスマスオーナメントショップがいくつかありました(年中無休?)。キリスト教徒もけっこういるんでしょうね。
南インドから来た「インド系」
10%弱ほど、インド系がいます。南インド出身のタミル人が多く、全体的にあまり裕福な層ではないようです。
タクシードライバーやレストランのウェイターはインド人が多く、工場や建設現場などの肉体労働系にも就いています。富豪の人は富豪らしいですけどね。
ムルデカ・スクエアのあたりにインド人街があり、派手派手の服がたくさん売っています。
インド系の言語
インド系は、タミル語を話します。マレー語や英語も話せる人が多いけど、他の人種に比べて訛りが強いので聞き取れないかも……。
接客業についている人たちは流暢な英語です。
インド系の宗教
ヒンドゥー教徒が多いですが、少数派なのでムスリムに改宗する人もいるみたい。ヒンドゥー教徒は牛は食べません。
マレーシアのすごいところ:宗教ごとに休みが取れる
こんな感じで、マレーシアにはマレー系・中華系・インド系・その他の人種が入り混じっていて、宗教もイスラム教・仏教・ヒンドゥー教・キリスト教……と多種多様です。
そんなマレーシアでは、宗教ごとに休みが取れるんです。
ラマダン明けのお祝いにはイスラム教徒が休み、中国の旧正月には中華系が休み、キリスト教徒の人はクリスマスに休み……という感じ。だから会社が一斉に休みを取って止まる、ということがないんだとか。
これぞダイバーシティ!
マレーシアはかなり多様性に寛容な国で、ビジネス的にも近年注目されています。マルチリンガルが当たり前で、多文化を受け入れるグローバルな環境もあるので、支店を置くのにとってもいいんですね。
余談ですが、先日テレビで『「ダイバーシティ」という言葉の意味を答えられる日本人は2割未満』とやっていました。日本、完全に置いていかれてますよ……
多文化国家マレーシア、好きです
マレーシアが自分にハマりすぎてるのはなぜかな〜と考えてたら「トロント好きな人はKL好きだと思う」と言われ、納得😧 多文化共生、多民族国家。いろんなカルチャーが共存しているダイバーシティな感じが好きなんだなぁ
— Ryoko Wani (@ryokown) 2017年11月4日
カナダのトロントに1年ほど住んでいたことがあるのですが、なんとなく似た空気を感じました。
アメリカのようにいろんな文化がMIXしてひとつの「アメリカ!!」っていう文化になるんじゃなくて、お互いを尊重しながらカラーを守りつつ、共存してそのままの文化を残している感じ。
インド人街、チャイナタウン、アラブストリート、トーキョーストリート(実はある)など、、エリアごとにわかれているのもいい感じ。
イスラム教徒は豚を食べないし、ヒンドゥー教徒は牛を食べない。なんでも食べてお酒をがっつり飲むのは中華系だけ。こんな感じなので、マーケティング的にも全員をターゲットにしていると成り立たない。だからほんとに、いろんなチャンスがありそうです。
個人的にはとっても好みの国だったので、このブログはマレーシアブログと化しています。他の記事もよかったらみてね。
▼マレーシアの多様性を感じるなら
» クアラルンプールのグルメ街・チャイナタウンで堪能できるローカル飯
» 隠れ家カフェの宝庫!クアラルンプール・チャイナタウンのカフェ6店
おわり。