メールは短くシンプルに。言いづらいことを伝えるときは、感謝→結論→現状説明→課題&理由→再び結論(どうしようもないことを強調)→恐縮→引き続きよろしく。この流れが鉄板な気がする✌ 感謝と恐縮で挟むのが、穏便に済ませるポイントです。
— Ryoko Wani🍍 (@ryokown) 2017年8月29日
これについて深掘り。
いくらチャット文化が浸透してきているとはいえ、社外の人とはまだまだメールのやりとりが多いですよね。ときには取引先などに対して、言いにくいことを伝えないといけないシチュエーションも。。
何度かそういう経験をして、ツイートのような流れがいいんじゃないかなーと落ち着きました。
(感謝)
↓
【結論】
↓
《現状説明》
↓
《課題&理由》
↓
【再び結論】
↓
(恐縮)
↓
引き続きよろしく
慎重な言葉選びも大切ですが、気持ちの強さゆえにダラダラと長文になってしまうケースが多いです。ひたすら謝り続けたり言い訳しつづけたりすることなく、シンプルな構成で穏便に済ませましょう。
Contents
場面設定:予算内でそこまでの対応はできないと伝えるメール
「言いにくいことを伝えるメール」と一口に言っても、いろいろあります。催促や断り、謝罪などなど。。
なかでも難しいのが、お金に関する交渉ごと。今回メールを考えるにあたり、「今の予算でそこまでの対応はちょっとむりですわ〜」と伝える場面に設定します。
【想定シチュエーション】
提出した見積もりを了承してもらって、プロジェクトが進んでいる。進んでいるのに、「やっぱりこういうふうにできませんかね?」という突然の方向転換。えっ。いやいや今更言われましても……。ちょっと厳しい……。
これ、デザイナーやプログラマーでもあるあるじゃないでしょうか?(できるだけ一般化したつもり)
このシチュエーションで、メールの流れを見ていきます。
メールの基本:結論から先に言う
(感謝)
↓
【結論】
↓
《現状説明》
↓
《課題&理由》
↓
【再び結論(どうしようもないことを強調)】
↓
(恐縮)
↓
引き続きよろしく
メール術の基本中の基本、結論を先に言う。
まずは結論を簡潔に示して、そのあとで理由を説明していく。この流れは鉄板です。
結論から申し上げますと、今から○○の対応をさせていただく場合、
追加のお見積が発生してしまいます。
このように話の要点をさっさと提示することで、「要するに何が言いたいのか、何をしてほしいのか」が明確になり、ちゃんとした返事がもらえる率がUPします。グダグダと理由が書かれていても読む気になりません。
「結論→理由」は、どんなメールでも骨子になるパートです。
メール全体がシンプルに引き締まる
結論から書くことで自ずとシンプルなメールになります。
一番言いたいことをまず言って、その肉付けに必要な情報だけを書いていけばいいから。余計なことを入れてしまう余地がなくなります。言い訳っぽいメールはだいたい結論が最初にないはず。
スパッと1文で結論を示すことで、メール全体が引き締まります。
結論と理由の間に、しっかり「現状説明」を
(感謝)
↓
【結論】
↓
《現状説明》
↓
《課題&理由》
↓
【再び結論(どうしようもないことを強調)】
↓
(恐縮)
↓
引き続きよろしく
通常なら「結論→理由」とシンプルに進んでいいと思うのですが、今回のような言いにくいメールでは、理由に入るまえに《現状説明》が必須です。3〜5行程度で簡潔にできるといいですね。
無理な要求のもとは、理解不足
なぜ《現状説明》が必要かというと、無理な要求が発生している原因は「状況に対する理解不足」だからです。
先方からちょっと無理がある対応を求められてしまった場合、あっちとこっちで現状の理解にギャップがある可能性が大きい。
無理難題を押し付けられているように感じたとしても、向こうは悪気があるわけでは決してなく、単に業界や技術についての理解が不足しているだけ、というパターンが多いです。
たとえば、
- 一部のデザインを作り変えるのにどれだけの工数がかかるかわからない
- 仕様変更がどれだけ手間のかかることなのかわからない
自分たちができないことだからお金を払って依頼しているわけなので、当たり前ですよね。
だからまずは、今どんな状況になっているのかを説明し、理解レベルをある程度同じラインまで引き上げる。専門レベルまでわからなくてもいいので、このあとに続く内容を理解できる前提をつくりましょう。
これで、課題点や理由がすんなり入ってくる状態になります。
課題&理由はセットで。専門用語を使わずに
(感謝)
↓
【結論】
↓
《現状説明》
↓
《課題&理由》
↓
【再び結論(どうしようもないことを強調)】
↓
(恐縮)
↓
引き続きよろしく
現状はこうなってるよ、というのを示したうえで、じゃあ何が問題でそれはなぜなの?というところを説明します。
- 課題 → この機能を追加でつけるには、追加料金が発生します。
- 理由 → だって○時間くらいの作業が発生するから。
ここのシステムをいじってどうこうする必要が〜とかは一切言わなくていいです。専門用語を使って技術的な負担を説明するのではなく、時間や原価といった誰でもわかる内容に置き換えて話をしましょう。
結論は言い回しを変えて2回言う
(感謝)
↓
【結論】
↓
《現状説明》
↓
《課題&理由》
↓
【再び結論】
↓
(恐縮)
↓
引き続きよろしく
結論をもう一度言うことでクロージングの方向へと持っていきます。
ここでは、最初にシンプルに提示した結論を、もうすこし詳しく言い回しを変えて示します。状況の理解が深まっている状態で、「こうだからどうしようもない、わかっていただけますでしょうか。。」ということを強調します。
以上のような状況のため、今からご希望の対応をさせていただくには、
〜〜〜という作業が発生します。
これには最短でも2〜3日のお時間を頂戴します。もしくは、〜〜〜〜〜というような方法ですと、
ご希望のかたちには少し及びませんが、ご予算内での対応も可能かと思います。
あわせてご検討いただけますと幸いです。
「(こっちが)時間かかるんだよ!」と言いたいところも、
「(相手の)お時間を頂いてしまうんです…」と立場を変えて言い換えることでやわらかくなりますね。
お金ないならやらねーよ、と突き放すような言い方にはせず、最善は尽くしているという誠意を伝えましょう。
また、代替案や類似策があるならここで提案するのがベストです。むりだよ〜ん。で終わってしまったらどうしようもないので、選択肢を与えてよい方向へ導けるといい感じですね。
プラスオンのひと手間。まずは「感謝」、そして「恐縮」で締める
(感謝)
↓
【結論】
↓
《現状説明》
↓
《課題&理由》
↓
【再び結論(どうしようもないことを強調)】
↓
(恐縮)
↓
引き続きよろしく
最後になりますが、ここまで説明した流れは普通です。ここからが一番大切なこと。
さらにやわらげるクッションとして、「感謝」と「恐縮」を入れるべきだと思っています。
- メール冒頭→感謝:〜していただきまして、誠にありがとうございます。
- メール締め→恐縮:〜で大変恐れ入りますが、ご検討いただけますと幸いです。
冒頭と締めにプラスで挿入することで、さらに穏便にまとめやすくなります。
メール冒頭:感謝
お世話になっております。○○です。
先のメールにて、〜〜〜〜〜についてご要望をまとめていただき、
ありがとうございました。
まずは頂いたメールや電話に対して「感謝」します。このように意見を出していただけたこと、言いたいことを言ってくれたことに対してのお礼です。
こちらが言いにくいことをメールする必要があるときは、たいてい向こうも言いにくいことを言ってくれたときなんですよね。言いにくいのに言ってくれたという事実に対して、「ありがとう」を示せると思います。
メール締め:恐縮
お忙しいなか大変恐れ入りますが、何卒ご理解いただけますと幸いです。
メールの締めは「恐縮」して終わりましょう。
恐縮しましょうっていうのも変な感じですが、「個人的にはできればやりたいんだけど、こっちも仕事なんでご希望に添えずごめんなさい」、という気持ちの表示です。「謝罪」の一歩手前くらいの感覚。
向こうの言い分が過剰だったり、要望が無理難題だったりということもあるかもしれませんが、「要求にお応えできない」というのは紛れもない事実ですよね。
悪いことはしていないので「謝罪」までする必要はありませんが、相手の感情に寄り添うと、その事実に対して控えめな姿勢になるべきです。
やりすぎ?くらいでちょうどいい
長々と説明しましたが、わざとらしいとかやりすぎだとか思う人もいるかもしれません。たぶんその感覚は正しいです。
でも、残念ながら日本社会のビジネスメールはこうなっています。企業体質が古ければ古いほど。
英語みたいにスパッと伝えてあとは直接話そうぜ!となればラクですが、日本語は言い回しの力に頼っている言語です。少しの差が180度違うイメージを与えてしまうこともあります。
必要ないっしょ……と思ったら、本屋さんのビジネス書棚に行ってみてください。メール文章術の本が山のように出版されている現実を見ると、言い回しひとつの重要性が感じられると思います。
ちなみに、本を100冊読むのもいいですが、一番いいのは人のメールを見ることです。やりとりをしていくなかで「このフレーズ便利そう」と思ったものがあれば、実際に使ってみたりすると、だんだんいい感じのメールが書けるようになるはず。
私もけっこう長ったらしくなりがちなので、短く短くを心がけてがんばります。
おわり。