世の中にはいろんなジャンルのライターさんがいます。美容ライター、経済ライター、映画ライター……などなど。
そのなかでも、食の分野に特化した「フードライター」は、ちょっと誤解されがちかもしれません。高級レストランのPRをしていたときに、たくさんのベテランフードライターさんとお仕事させていただく機会があったのですが、少し特殊なジャンルだなと感じていました。
食の魅力をことばで伝える「フードライター」という職業を紹介します。
Contents
フードライターとは?
この記事では、私の知っている「フードライター」の世界を紹介します。
グルメライターとは違うの?と思われるかもしれないですが、私の考え方としては、「フードライター」と名乗っている方のほうがより、
- 食の背景や歴史・文化
- その料理の調理法
- 食材のルーツや農法にまつわること
- レストランそのものの知識
などが豊富で、社会的な記事を書かれている印象です。
人それぞれ解釈は違うと思うのですが、「こういう仕事の人たちがいるよ」くらいに捉えていただけると幸いです。
フードライターの守備範囲は人それぞれで、飲食店を取材して記事を書くのが基本スタイルですが、料理研究家さんのレシピ記事や、海外から来日した外国人シェフや世界的パティシエといった超大物へのインタビューなど、“食にかかわる人”に焦点を当てたのインタビューをすることもあります。
執筆している媒体のイメージは、
東京カレンダー、dancyu、料理通信、料理王国、食楽、ELLE gourmetなどのフード系専門誌、男性誌、女性誌、ライフスタイル雑誌、フリーペーパー、など
という感じ。
「食」は老若男女に共通する話題なので、メディアの範囲も幅広いです。もちろんWEBで書くこともありますが、堅めの記事は紙媒体が多めです。
また、文章を書くお仕事だけでなく、フードコーディネーターやフードアナリストなどの資格もいかして食全般にかかわる様々な活動をされている方や、自分自身も料理をされる方も多い印象です。
フードライターはこんな人、7つの特徴
一概には言えませんが、私がお仕事でご一緒させていただいてきたプロのフードライターさんたちに共通する特徴をまとめました。
1. 世界のレストラン情報に詳しい
取材時のアイスブレイクで、「○○(レストラン名)は最近アジア圏にも進出されてますもんね」「先日パリで○○の本店に行ってきましたけど」なんて会話が平気で出てきます。
普段からリサーチしていて、さらに仕事で食業界のいろいろな方とかかわるので、詳しくなるんだと思います。
2. 名だたるシェフと親交が深い
有名フードライターさんともなると、シェフと親交が深い方もいます。
星を持つような有名レストランのシェフだと気難しい方もいるのですが、「○○さんの取材なら受けるわ」と二つ返事でOKということもある世界です。
3. 高級レストランの仕組みやカーストをわかっている
高級レストラン内の立場関係って絶妙でして、、
シェフ・サービススタッフ・ソムリエ・パティシエなど様々な立場の人たちがいて、レストランごとに独特の力関係があったりします。
その空気感をふわりと読めるスキルを備えています。
4. レストラン界の賞を熟知している
レストランの世界には様々なコンクールがあって、それぞれに「賞」があります。スタッフが個人で受賞すればそのままお店の評価にも繋がるため、レストラン側も積極的に受けさせます。
フードライターは「この前の○○賞はどこの誰シェフが受賞した」という情報にも敏感で、食関連のイベントやセレモニーにもよくお呼ばれしている印象です。
5. 食べものを表現する語彙が半端ない
フードライターさんの味の表現力には圧倒されます。取材時に食べた一口から、じっくりと味を感じて言葉に落とし込んでいきます。あまり「美味しい」とかは言わず、いろんな言葉で表現されます。
さらにすごいと思うのが、食べなくてもそれができること笑
これは裏話ですが、編集者が話だけ聞いてきてそのインタビュー音声からライターが味を想像して書くこともあるんです。
6. 品のある雰囲気の女性が多い
30〜40代の女性が、割合としては多い印象。
舌が肥えてるから、、、ではないと思いますが、若い頃にリアル東京カレンダーみたいな生活をしてたのかなーというような、大人の女性フードライターさんがご活躍されています。
7. ときに、食べることを忘れられる
フードライターと聞くと「美味しいもの食べ放題でいいね」ってなるかと思いますが、実際は好き放題に食べるわけではありません。
話のヒアリングが優先で、基本的には味を描写するために必要なぶんだけ試食し、材料や作り方のこだわりを聞き出します。さすがプロですね。
フードライターの仕事のしかた
雑誌の編集者さんから直接依頼されることが多いようです。
ライターさん自身にコネクションやネームバリューがあると、レストラン側へのファーストコンタクトから頼まれるケースも少なくありません。下手に編集さんが間に入るよりも、勝手がわかっていてスムーズに交渉できるためです。
おなじみの雑誌で、おなじみの編集者・カメラマンとチームで組んでいるパターンも多く、業界はけっこう狭いような気がします。
臨場感のあるグルメレポも書いている、という方もいると思います。フードジャーナリスト的な堅めの記事中心の方もいれば、ゆるめの食レポにもどちらにも振り切れる人もいます。
食べることは生きること。人間の基本。
「食」は生きていれば誰でも関心のあるジャンルだけに、それを専門にして伝える人たちの知識量には圧倒されます。。
食材や栄養に関する知識や、農業や食糧に関する様々な社会問題も含め、世界の食トレンドを追っているフードライターさん。フェアトレード、オーガニック、ベジタリアン、ヴィーガン、グルテンフリー、スローフード、フードロス、、、こういった外来ワードも次々に流行りますが、それらもよくチェックされています。
海外では、フードジャーナリストという職業もわりと一般的なようです。
「食」の観点から社会派・ジャーナリズム色の強い記事を書く方のことですが、日本ではあまり馴染みがなく、存在も少ないようでせう。まだまだポジションが空いている仕事ではないかと思います。
奥が深いフードライターの世界でした。
おわり。