「配信後、プレスリリースにミスがあったことが発覚!どうしよう、訂正しなきゃ……」
広報PRの仕事をしていて鳥肌が立つ瞬間ベスト3に入りますね。
すでに配信してしまった場合、訂正は効くのでしょうか?どのように訂正すればメディアの方に失礼がないでしょうか?
ときどき見かける「お詫びと訂正」のプレスリリースについて解説します。
★プレスリリースについては全10記事以上でまとめていますので、しっかり学びたい人は下記の記事からどうぞ。
Contents
プレスリリースのミス訂正は許されない?
プレスリリースは、基本的に「ミスが許されないもの」と認識しておきましょう。
ミスしていい仕事なんてありませんが、公開後に直すことも可能なWEB記事などとは違って、プレスリリースを配信後に訂正するというのは「けっこう大ごと」と捉えてください。
個人的な話ですが、新人のころに、最終ver.一歩手前のファイルを配信してしまったことがあります。ほんの数文字が違うだけのファイルでしたが、クライアントからはものすごく怒られ、経緯報告書を提出する事態になりました……。
配信前のダブルチェックは必須です。それくらい、プレスリリース配信は慎重にやらないといけないものです。
最近は配信サイト上だけで配信する人も多いので、「ミスがあっても後から編集画面で直せばいいや!」と思っている広報さんがたまにいます。そういう人は、「プレスを打つ」という言い方を使いがちなんですけどね。
この勘違いは、「配信」の全体像がわかっていないから起こること。これを機に理解しておきましょう。
よくわかるプレスリリース配信の仕組み
プレスリリース配信の本質は、「配信サイトに登録し掲載されること」ではありません。
配信サイト上に載るのはあくまで一部で、そこからメールやFAXでさまざまなメディアに配信させることに意味があります。配信した時間に、そのまま各メディアに一斉送信されるのです。
詳しくは以下の記事を参考にどうぞ。
掲載後に順次、提携メディアに内容が転載されていきます。PR TIMESの場合、一番早いもので30分後くらいから転載されはじめ、24時間以内に約30媒体ほどに転載されます。だから翌日とかに訂正をしてもけっこう手遅れなんですよね。。
一度メディアに出てしまうと、訂正できないことも少なくないです。配信サイト上だけで「訂正」しても意味をなさないこともあると理解しておきましょう。
プレスリリース配信後にミスが発覚した場合は?
配信前に複数人でじーっくりとチェックして、誤字などがないか何度も確認し、慎重に配信した……。
それでもミスが発覚してしまうことはあります。
一番多いケースは、「配信後に配信サイトを見た社内の人に指摘されて発覚」というパターンです。正直、広報PRのことをよくわからず、軽い気持ちで指摘してくることもよくあります。
すぐに反応して訂正するのではなく、それが本当に必要な訂正か、一度冷静に考えましょう。
訂正を流さないと、会社にとって致命的なダメージになるのか?関係各所に迷惑をかけてしまうほど深刻な間違いなのか?
それを判断するのは、あくまで広報です。落ち着いて対応しましょう。
お詫び・訂正すべきこと
明らかな間違いは、訂正すべきです。
データの数値が間違っているとか、事実と異なることが書いてあるとか。また、他社名やブランド名などの固有名詞が間違っている場合も致命的です。
お詫び・訂正しなくてもよいこと
ニュアンスの違いや表現の誤差のような、人によって感じ方が異なるものの場合、訂正しなくてもよいケースが多いです。
「訂正リリース」というのは、記者やメディア関係者にとって、受け取って気分の良いものではありません。できることなら流さないほうがいいに決まっています。
明らかな間違いでなければ、むしろ訂正を流さないほうが悪い印象を残さずに済むでしょう。
それでも訂正する場合、お詫びも兼ねて「訂正リリース」を配信
それでもやっぱり間違っていて、訂正を流したい場合。
基本的に、一度配信したものは取り消しができません。作業が進んでいた場合、メディア側にも差し替えの余計な手間が発生します。また、すでにニュース記事を読んでしまった読者が、訂正箇所をもう一度読んでくれるとも限りません。
それでも訂正するのだから、「謝罪」に値することです。「お詫びと訂正」というかたちで、しっかり謝ることも忘れないようにしましょう。
流れてしまった情報を完全に抹消するのはむり。その気持ちを忘れずに、真摯な対応を心がけましょう。
「お詫びと訂正」のしかた
お詫びの定型文はこんな感じになります。
2018年X月X日XX時に配信いたしましたプレスリリース「〜〜〜〜〜〜(プレスリリースタイトル)」におきまして、内容に一部誤りがございました。
深くお詫びいたしますとともに、謹んで訂正させていただきます。
これを前置きとし、訂正箇所をわかりやすく示します。<訂正前><訂正後>と比較してあげると親切です。
<訂正前>
イベント実施日:2018年9月29日(日)
<訂正後>
イベント実施日:2018年9月29日(土)
ちなみに、この「日付と曜日のずれ」パターンはかなりよくあるミスです。
ただでさえ余計な作業を発生させているので、訂正箇所がパッとわかるようシンプルな文面に。長過ぎる謝罪はやめ、文章の締めでもう一度謝るくらいにしておきましょう。
自社サイト上、配信サービス、FAX、メールすべてて再配信
メールならメール、FAXならFAXで、間違って配信したすべての手段で再配信をしましょう。一部にだけ流すのはご法度です。
訂正版を送っていることが一瞬でわかるようにするのが大事。他のメールに埋もれないよう、古いプレスリリースがその後一切使われないよう、工夫しましょう。
気をつけることは以下のとおり。
- 何日何時に配信したどのリリースの訂正かわかるように
- メールタイトルに【訂正版】とわかりやすく入れる
- メール本文でできれば赤字にするなどする
- 添付ファイルも【訂正版】に差し替え
- ファイル名やファイル内にも【訂正版】の文字を入れる
- FAXの場合、お詫び状を1枚表紙に添える
- 問合せ先を必ず明記する
訂正リリースのリンクを貼るのはちょっと気が引けるのですが、参考までに載せておきます。
» プレスリリースの訂正とお詫び|ワコールホールディングス
» プレスリリース誤表記のお詫びと訂正|日本郵便
» プレスリリースの訂正とお詫び|東京工芸大学
間違わないことが基本。プレスリリース配信は後戻り不可と思うように
私はPRの仕事を5年やっていて、毎週毎週プレスリリースを配信していますが、配信作業はいまだに毎回緊張しています。「絶対ミスがあってはいけない」という感覚が身に染みついているからです。。
配信サイトに手軽に載せられる時代になったので、みんな気が緩んでいる感じがしますが、昔々は手作業で郵送とかしていたものです。プレスリリース1枚の重みを、もっと感じたほうがいいと思います。
メール一斉送信をする場合、必ずBCCで行うのも忘れずに。不安な人はシステム担当の人に相談すれば、送信後に取り消せる設定とかCCにしてしまうと送信されない設定とかがあるはずです。リスクヘッジしておきましょう。
以上、プレスリリースの「お詫びと訂正」についてでした。
▼プレスリリースの書き方はこれで完璧
▼プレスリリース配信日時も気にしましょう
▼プレスリリースのネタは意外といっぱい転がっている
おわり。