2017〜2018年にかけて、雑誌の「休刊」が進むばかりです。
ビジネス誌「BIG tomorrow」や、原宿系ファッション誌「Zipper」、テクノロジー誌「WIRED」など……。休刊しなくても「GQ JAPAN」や「FRaU」のように発行頻度を減らす雑誌も出てきました。
そして、2018年6月には「warp MAGAZINE JAPAN」が休刊。ショックすぎる。
» メンズ雑誌「ワープ・マガジン・ジャパン」が休刊、22年の歴史に幕。デジタルでは継続
雑誌が終わるとき、たいてい「廃刊」ではなく「休刊」といわれます。「休刊」ってことは「復刊」の可能性もあるの?と考えてしまいますよね。
この機会に、そのあたりのことを解説します。
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雑誌の「休刊」と「廃刊」の違い
「休刊」と「廃刊」の言葉の定義としては、文字のとおりです。
▼休刊とは
業績不振などで一時的に制作が厳しくなり、続けられなくなったときに発行を休むこと。「復刊」する可能性もゼロではない。
▼廃刊とは
その雑誌が永久的に終わること。「復刊」の可能性はない。
定義上はこうなっていますが実際には、「休刊」として発表しても事実上の「廃刊」を意味することがほとんどです。
「廃刊」という言い方は使わず、「休刊」とするのはなぜなんでしょうか?
一般的には「休刊」が使われるのは、フェードアウトしていくため
事実上の「廃刊」でも「休刊」とすることが多い背景には、いきなり終わらせずに徐々にフェードアウトしていきたいという出版社の思惑があります。
どの雑誌にもファンがついているため、いきなり「廃刊=もう二度と復活しませんよ」としてしまうとダメージが大きいです。
雑誌がなくなるときは「継続が難しくなってやむを得ず」というパターンが多いので、0.1%でも復刊の可能性があるのなら名前は残しておきたい……!という思いですね。
復刊の可能性をゼロにしてしまいたくない、という思いで「休刊」という扱いにすることが許されています。
すべての雑誌についている「雑誌コード」の存在
それより大きい理由として、廃刊すると返還しないといけない「雑誌コード」の問題があります。
世の中に存在する雑誌のすべてには「雑誌コード」という5桁の数字が設定されていて、裏表紙に必ず印字されています。
ここですね。この最初の5桁が、雑誌ごとに違う「雑誌コード」。
この雑誌コードは5桁しかないのでもう満杯状態で、雑誌不況のこの時代に新規で取得するのはとても難しいといわれています。
よほど収益性が見込めたり、斬新なコンセプトだったりしないかぎり、簡単には発行してもらえない……。そのため出版社としては、一応「雑誌コード」を手元に残しおきたいのです。
雑誌が「休刊」になると、共通雑誌コード管理センターというところでそのコードは2年間保留にされます。2年後、復刊の予定がなければ他の雑誌に割り当てられてしまいます。
これは逆にいうと、休刊して「雑誌コード」を残しておけば「2年間の猶予期間が与えられる」とも捉えられますよね。
「雑誌コード」は、復刊やリニュアールするときはもちろん、まったく別の雑誌を新たに創刊したとしても再利用することができます。
同じ雑誌コードを再取得することはできないので、せっかく保有しているコードは返還したくない……という理由で「休刊」を選ぶ出版社が多いんです。
「休刊」したのに「復刊」した雑誌の前例
「休刊」した雑誌が「復刊」することはほぼないといわれていますが、たまにあります。
2018年に入ってから、2010年に休刊した「CONTINUE」というカルチャー誌がなぜか8年ぶりに復刊しました。
» 伝説のオタクカルチャー誌は、なぜ8年ぶりに復活したのか – BuzzFeed
2018年3月には、休刊してデジタル化することを宣言した男性ファッション誌「2nd(セカンド)」が1ヶ月で復刊を発表したニュースもありました。
» 休刊発表したメンズファッション誌「セカンド」 約1カ月で復刊へ
経緯は明かされていませんが、こんなこともあるんですね〜。
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以上、雑誌の「休刊」と「廃刊」の違いでした。
デジタル化の時代とはいえ、紙の雑誌がどんどん消えいてくのはかなしいですね……。雑誌を読みましょう。最近はdマガジンや楽天マガジンといったサービスもあり、なんと月額400円前後でいろんな雑誌が読み放題です。
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おわり。