2017年にPRプランナーの資格試験を受けていました。
ありがたいことに独学で一発合格できたのですが、3次の実技試験はけっこう苦戦する人が多いようで……。
対策や試験内容の具体的な話があまりネット上になくて困ったので、過去の自分みたいな人を助けるべく、3次試験対策をまとめます。
なお、受験したのは2017年後期(第21回)です。回ごとに課題内容は変わりますが、ベースはそれほど変わらないはずなので参考にしてください!
Contents
PRプランナー試験とは?1〜3次まであります
日本パブリック・リレーション協会が主催する、広報やPRの人を対象にした資格試験。
業界外からの認知度は低めですが、広報PR関係の仕事についている人であればほとんど知っている資格です。
1〜3次まるごと振り返りについてはこちらの記事で書きました。あわせてご覧ください!
この記事を読んでいる人は、これから受験を考えているか、2次まで無事合格してさて3次対策をという段階だと思います。
どちらにしても上記の振り返り記事を先に読んでもらえるとわかりやすいです。
3次試験の概要と認定条件
PRプランナー3次試験の概要は以下のとおり。
受験資格 | 2次試験4科目合格者、かつ3年 以上の広報・PR関連実務経験者 |
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試験方法 | パソコンによる記述方式 Windows 7 の Office 2010 ( Word、Excel、PowerPoint ) のいずれかを使用 |
試験内容 | 広報・PRに関する実践技能 課題A:ニュースリリースの作成 課題B:広報・PR計画の立案作成 |
試験時間 | 180分 |
2次に合格すると進めるのですが、実務経験3年以上が条件になります。
とはいえこれは厳密に書類審査があるわけではなく、自己申告制なのでPRに近い業務であれば認められるかもしれません。(通らなくても責任とれませんが…)
内容は、2つの実技課題を3時間でこなすというけっこうハードなものになっています。
「ニュースリリース作成」と「広報・PR計画の立案」なので、普段実務でやっていることをやればいいだけなのですが、経験がないとつらいかも。
3次試験の内容 – ニュースリリース作成とPR計画立案
具体的な試験内容を振り返ります。
3次試験では、1人1台パソコンが用意された部屋に入れられて、制限時間の3時間でAとBの課題を終える必要があります。
3次は時間との戦い……。時間配分を考えて、削るとこ削って試験用に効率よくやらないとです。(細かい部分の追求はいりません)
課題A : ニュースリリースの作成
文章で商品の概要・スペック、背景事情、ストーリー的なものが書かれた資料が渡され、それを見てニュースリリースを作成していきます。
「プレスリリースは簡潔にA4紙1〜2枚」が常識だけど、模範解答を見るかぎりこの試験では3〜4枚くらいになってもいいみたいですね。逆に下手に要素を削らないほうがよさそうです。
画像や会社概要などは、最後に「補足資料」というかたちで添付したほうがいいかもです。そこまでの評価基準は公表されていないので、あくまで私の勘ですが。
フォントは明朝体かゴシック体。モノクロ印刷で評価されるのでデザイン性は不要です。
(1) 見出し、(2) 全体構成、(3) 必要事項、(4) 簡潔性、(5) 適切性(表現)
この5つの要素が評価基準。ポップさや奇抜なインパクトは必要なく、全国紙の経済部に送る想定で作成しましょう。
タイトルの簡潔性、リード文に5W1Hが入っているか、要素が網羅され適切な順番になっているか、新規性や社会性は十分に表現されているか、文章はおかしくないか、などがポイントです。
基本的なニュースリリースの書き方・型から学びたい人は、こちらの記事をどうぞ。
2017年下期(第21回)のニュースリリース課題
国内チェーン展開する「きしめん店」が米国サンフランシスコに出店するという内容のリリースでした。抑えるべきポイントは以下のとおり。
- 「米国本土に初上陸」という圧倒的ニュース要素をメイントピックにする
- ハワイの店舗でアメリカ人受けを研究してから本土上陸へ踏み切った、という出店までのストーリーを省かない
- グローバル展開しようとした経営的な部分の背景を読み取る
原文がないので具体的なイメージが湧かないかもしれませんが、こういう部分に気をつけて読み取ればいいのかなと思いました。
店舗概要や会社概要はそのままコピペでOKですね。
まあ、ニュースリリースは広報の基本なので大丈夫でしょう。サクッと終わらせ、PR計画のほうに注力しましょう。
課題B : 広報・PR計画の立案作成
課題Bは、広報・PRプランニングの課題です。
「コーポレート課題」もしくは「マーケティング課題」のどちらかから選択できるので、得意なほうを選びましょう。
- コーポレート課題・・・企業全体の広報戦略や経営にかかわる戦略立案
- マーケティング課題・・・商品やサービスに寄った、主に一般消費者向けの戦略立案
こんな感じです。試験の最中に両方の課題を読んで迷っている暇はないので、最初からどちらで受けるか得意なほうを決めておきましょう。
私の場合は完全にマーケ寄りPRをやってきた人なので、コーポレート課題には目もくれませんでした(だから課題内容もわかりません、すみません)。
(1) 的確性、(2) 戦略性、(3) 実現性、(4) 独自性・適切性、(5) 論理性・構成力
これが評価要素。
フォーマットは自由で、PowerPointで企画書のような体裁にしても、Wordで文章のみで示してもOKです。提出方法については後述します。
2017年下期(第21回)の広報・PR計画立案「マーケティング課題」
今回マーケティング課題として出されたのは、ざっくり要約するとこんな感じでした。
上下昇降式のデスクを作っている製作所の、年間PR計画をプランニング。オフィス用品としては10〜15%の伸び率だが、学習机市場には未参入という市場背景。中高生の受験に備えた学習机として「座りときどき立ち」の勉強スタイルを広めていきたい。
市場状況などが文章で解説してあって、調査データ(グラフなど)も添付されています。
海外先進国と比べて日本人は座っている時間が長いとか、座りっぱなしよりときどき立ったほうがむくみ改善・姿勢改善・集中力アップなどの効果があるよとか、そういったことがデータで示されていました。
これらの資料(A4数枚分)にある要素をフル活用して、PR計画を立てていきます。形式は自由なので、私は慣れているPowerPointでの提案書形式を選びました。
先ほどの評価要素ごとにポイントを考えてみると、
(1) 的確性
与件やミッションはしっかりと整理され、課題に対して的確な計画になっているか。
(2) 戦略性
すべての要素を考慮して深い戦略が立てられているか。浅い部分や飛躍した部分がないか。
(3) 実現性
年間スケジュールの組み方と、年間予算の使いみちに無理がないか。
(4) 独自性・適切性
時流と絡めて広められる施策になっているか。ユニークなアイデアが盛り込まれているか。
(5) 論理性・構成力
プラン全体の組み立てかたがロジカルになっているか。わかりやすい提案書か。
このあたりがポイントかと。
資料の見た目は一切考慮されないので、時短も考えてシンプルに白黒でつくりましょう。グラフィックはなし、フォントも1種類でいいです。
ページ数でいうと8Pくらいになりました(特に指定はありませんが、内容ちゃんとすればこのくらいにはなるのかな)。
予算が年間3000万と決まっているので、それをちゃんとバランスよく消化するプランにする必要があります。
評価項目の「実現性」は予算とスケジュール組みが大切になってきますが、現実離れしていない組み方だったら大丈夫かと思います。そもそも実在しない案件のプランニングなので、ざっくりでOK。
3次試験当日の試験会場での流れ
会場はこんな感じの↑パソコンが並んでいる部屋で、それぞれにOfficeソフトだけが入っている状態です。
デスクにはペットボトルの水が置いてありました。ありがたい。(試験中はこの水以外の飲食は禁止です)
USBが入った封筒が配られ、その中にAとBそれぞれのフォルダが入っているので、中身を確認してデスクトップにコピペします。課題ファイルを直接編集して消えてしまった場合のフォローはないようなので注意です。
コピペした中に提出用のファイルも入っているので、ファイル名に自分の受験番号を入れて編集します。課題ABともにExcel・Word・PowerPointから好きなものが選べるので、慣れているものを使いましょう(Excel使う人はいないと思いますが)。
こういった手順や注意事項はしっかり説明してくれるので、指示に沿ってやっていけば間違えることはありません。
リリースとPR計画で3時間。仕上げることが重要
この試験は、リリースとPR計画合わせて持ち時間は3時間です。
進め方は自由ですが、私のおすすめの時間配分はこちら。
- 課題A:リリース作成(45分)
- 課題B:PR計画立案(120分)
- チェック&修正、保存作業(15分)
名前をつけてUSBに保存して封筒に署名するまでで3時間なので、その時間も考慮すると3時間フルに使えるわけではありません。手間取ることも考えて余裕をもってやりましょう。
「終わり」の時点で保存途中とかだと、失格になります。。
とにかく稚拙でもいいから仕上げることが大切で、途中で止まっている企画だとまず受からないのかなと思います。
14:30〜15:50までは途中退室が可能ですが、途中退室した人はひとりもいませんでした。全員ギリギリです。
※注意:インターネットは使えません
この試験、インターネットは使えません。
実際の企画でネット使わないことってあるの??という疑問はそっと胸にしまって、ある程度のことは頭に叩き込んでおきましょう。
一番は予算かな?と思います。この施策にはこのくらいの予算がかかるかなーということは、調べなくても判断できるようにしておきたいところ。
3次試験の対策は、独学でいけるよ
こんな感じの3次試験ですが、気になるのが対策法。
日本パブリックリレーションズ協会の公式講座もあるようですし、調べてみると他にも対策講座やセミナーがいろいろあるみたい。
私は特に何も通わず、独学で大丈夫でした。PR経験としては、総合PRエージェンシーに3年いたくらいなので、受験資格ギリギリです。
全然偉そうに言える立場ではないのですが、プレスリリース数百本、PR企画書数十本くらいの作成経験があったので、このくらいの実務をしてきた人であれば大丈夫かと。
ただ、プレスリリースは企業広報でもPR会社でも作成すると思うのですが、PR計画は企業によりますよね。
「PR計画書とか書いたことない……」
「上司が立てた計画をひたすら実行している……」
「年間3000万予算のプランニングとか未知だわ……」
という広報さんもいるかもです。その場合は、一度セミナーで全体感をつかんでみるのもおすすめです。
私がやった対策としては、
- 過去に合格した人たちのブログを読み漁る
- 公式の対策本で、お手本の企画書を読み込む
です。情報をインプットするのみで、実際に手を動かすのは実務でやっていました。
PRパーソンは忙しい人が多いと思うので、わざわざ試験対策用の時間を取るのではなく、普段から意識して実務のなかで練習してしまうのが一番だと思います。正直、セミナーとか通ってる時間なくないですか……?
対策本はこちら。実際の企画書はあまりネットに落ちていないので、これで見本の企画を見ておくとよさそうです。
ちなみにこの本、1次2次の問題集も前半に収録されているので、最初に買っておくのがおすすめ!
まとめ:合格をお祈りしております!
PRプランナー試験は2次試験の時事問題が最難関です(個人の見解)。
ここをクリアした人なら大丈夫。がんばってください!
合格すると最後の認定申請(書類審査)があり、その後認定通知が届きます。立派な賞状をもらいました。
認定PRプランナーになると、名刺にロゴや肩書を入れることができます。広報交流会などに行くとたまに名刺に入れている人がいて、盛り上がったりもしますので、わりといいのかなと思います。
協会主催のクローズドなMeetupもときどき開催しているみたいなので、そこでぜひお会いしましょう〜。
▼1〜3次試験のまるごと振り返り記事はこちら
▼来年くらいに受けようかな〜って人はとりあえず本を読みましょう
おわり。